タマムシシティの池

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言語と造語

文化庁国語課の勘違いしやすい日本語

文化庁国語課の勘違いしやすい日本語

とりあえず適当にアマゾン検索して貼った


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“コウドウホショウ”なる言葉を7世代で見るようになった。
言わんとしていることは分かる。とりあえず何かのチカラで一回動ける重要性ってことである。

コレに対して噛み付いている人も見かける、そんな日本語存在しないんだから、ちゃんとした日本語使えや!というわけである。



んで
“正しい日本語”ってなんぞ?って



例えばここで古語辞典を見てみましょう
“うつくしい”という言葉
kobun.weblio.jp

古語だと「かわいい」というニュアンスで使われるわけですね。
けれど、現代でうつくしい=かわいいだろ伝統に従えやコラとか言い出しても狂人としか見られません。



これだと「屁理屈言ってんじゃねーよ」などと言われそうなので、もう一つ例を出しましょう。


新語・流行語大賞

流行語大賞2004年「自己責任」という言葉、今だと当たり前に使ってますが、こういうニュアンスで使われ始めたのわりと最近だって知ってますか?


そんなわけで、言語っていうものはどんどん変わっていくもので、これまで存在しなかった言葉でも、間違って使われた言葉でもそれで定着してしまえば言語という概念的に考えればそれはそれで正しいものなのです。


もちろん「そういう言葉これまでに存在しないよ」とか「意味としておかしくない?」なんて言うこと自体はそれはそれで正しいことではあるのですが、言語として考えたときに何が正しいのかぐらいのことは頭に入れた上で批評しましょうね。




とまあ、これだけだとインテリ否定っぽい文句だけで終わってしまうので、接角なので言語に関するオタクな話もしましょう。





さて、特定の現象に名前をつけるという行為の目的は、情報伝達の簡略化です。
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例えば「きあいのタスキ、特性ばけのかわやがんじょう、あるいは素早いポケモン」で固めた構築という風に伝えるより、
「コウドウホショウを重視した構築」と言ったほうが伝える分には非常に楽ということですね。
この事を踏まえると「コウドウホショウ」なる単語にそんな単語存在しないんだがという文句が馬鹿馬鹿しいものであることが分かります。だってこれまで存在しなかった概念を伝えるために新たに生まれた単語なわけですし。


そして、新しい単語を生成する上で、気をつけると言うか前提として知っておかなければならないことがあります。


①多くの造語は、実際の経験を元にしないと理解できないこと。
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ポケモンを実際にプレイしたことがないと「コウドウホショウ」は理解できません。
きあいのタスキ、ばけのかわ、頑丈ぐらいは理解できても、素早さが高いポケモンや弱点の少ないポケモンが「コウドウホショウ」を持つことはプレイしないと理解できない概念です。

何が不味いのかといえば、初心者にこういう単語を使って説明するのはやめましょうねってことですね。


②特定の固有物の名称でない単語である以上、個人の認識の差が生じる
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例えば「対面構築」、これの定義をどこまで範囲を取るかは個人差があります。
りゅうのまいを覚えたカイリューを採用するのがどうなのか?
クレセリアの採用は?

こういうことは、言葉の概念をギッチリと定めていない以上当たり前のことです。
だから、「なんで対面構築って言ってるのに○○採用してるんだよ!」というような批判はあんまり意味のないものです。これはプレイングに名前を付ける場合も同じです。ヤンキープレイとか
まああまりにもかけ離れてたらオイオイオイとはなりますが。


③時間の流れによって意味が変わる

最初にした話の逆説、例えば対面構築も、5世代の対面構築と今の対面構築は全くの別物です。
同様に、役割理論、役割論理なんかも別物です。
時代によって意味が変わっていくことを許容しないといけないのはこちらもおなじことです。

以上、こういったことに気をつけましょうね。ぐらいで



ということで、格調高いオタクを目指すなら正しい日本語も大事ですが、正しい言語の理解はもっと大事ですヨ。
ちなみに、そういうオタクになるつもりがなければ全く気にする必要はありません。自然な流れでそうなるってことなので